TAKEHIRO TEZUKA

甲子園、躍動、秋の入り口



ラジオをつけると甲子園が中継されていた。今日は決勝戦。関東第一と京都国際の試合。ちょうど延長10回表が始まろうとしているところだった。
中継状況から今まさに蒸した球場内では熾烈な攻防戦が繰り広げられており、両チーム疲労しながらもこの延長で勝負が決まる緊張、勝負を決めにゆくという気迫が伝わる。0対0の延長戦。固唾を呑み、僕はラジオにかじりついた。

10回表、京都国際の攻撃。フォアボールの押し出し一点。続いて犠牲フライの一点。しかし、関東第一も負けずに満塁で後を追う10回裏。両者拮抗した熱い戦い。試合の成り行きがどうなるのか分からなかった。
素晴らしい戦いだ。

ストレートからのスライダーで三振。試合が終わる。
途中からの観戦だったが、その短いながらも僕は彼らと同じ歳になって、青春を分かち合ったような心地だった。僕の体にはあの頃と同じ躍動感がまだ残っている。その感覚を記憶の中から引っ張り出してくれたそんな試合だった。
両チームともおめでとう。そしてありがとう。

今日は甲子園が終わり、外では秋の空気を微かに感じさせるそんな一日だった。赤とんぼも散見され始めた。
今年8月23日は秋の入口。