TAKEHIRO TEZUKA

入道雲、クリアさ、眼鏡、遺霊



昼の帰り道、空には入道雲が低く点在し、それがとても綺麗に見え、しばらくの間眺めていた。眼鏡を掛けていたこともあり、入道雲の細部の輪郭まではっきり見ることができ、澄んだ青の空と白い雲のコントラストが美しかった。雲の際は陽を受けて輝き、雲の底部は反射光を受けながら、量の分だけ段々と空色に淡く染まっている。
キャンバスに臨む時もこの自然の見え方を大切にしたいな、そして眼鏡はクリアな観察に必要だなとも改めて感じさせられる、そんな身体が冴える景色だった。
この雲は先日の台風で吸われずに残って流されてきた雲なのだろうか。盆過ぎの雲は帰路の遺霊のようにも感じ、ゆるやかに各々帰るところのようだった。